はじめに
自前で構築した DNS サーバーを AWS Route53 に移行したり、新規に構築したオンプレミス環境に対して AWS Route53 に DNS サーバー機能を任せたりするときの手順を紹介します。
準備
IPアドレスの逆引きを自分で管理するには、回線プロバイダーから逆引きについて委譲を認められている必要があります。
今回は例として 203.0.113.144/28 (16IP) が割り当てられていて、回線プロバイダーからは逆引き用のゾーン「144/28.113.0.203.in-addr.arpa.」をこちらで準備するよう伝えられており、203.0.113.146 に srv1.example.com を、203.0.113.147 に srv2.example.com をそれぞれ登録する場合について紹介します。
もし割り当てられたグローバルIPアドレスの数が 256 個以上 (203.0.113.0/24 のようにネットマスクが 24 ビット以下) の場合は、こちらで準備する逆引き用のゾーンは「113.0.203.in-addr.arpa.」のようにスラッシュなしのものになるかと思います。
今回のようにネットマスクが 25 ビット以上の場合、回線プロバイダー側は「144/28」 のようなレコードを、回線プロバイダーが管理するゾーン「113.0.203.in-addr.arpa.」に追加して「144/28.113.0.203.in-addr.arpa.」とし、これをユーザー側(つまりこちら側)が指定した DNS サーバーを指すよう委譲してもらうことで、このネットワークアドレスに対する逆引きレコードの管理をユーザーでできるようになります。
つまり、回線プロバイダーがもつゾーン「113.0.203.in-addr.arpa.」には下記が追加されることになります。
144/28.113.0.203.in-addr.arpa. IN A <あなたが申請した DNS サーバーの IP アドレス>
または
144/28.113.0.203.in-addr.arpa. IN CNAME <あなたが申請した DNS サーバーの FQDN>
AWS Route53 設定
初めに、グローバルIPアドレスの逆引きゾーン「144/28.113.0.203.in-addr.arpa.」を登録します。
- AWS マネジメントコンソールへサインインして、Route53 のダッシュボードを表示します。
- 左側メニューにある「Hosted Zones」をクリックします。
- 中央上部にあるボタン「Create Hosted Zone」をクリックします。
- 右側フォームの入力欄「Domain Name」に、「144/28.113.0.203.in-addr.arpa.」を入力します。
- 右側フォームの入力欄「Type」が「Public Hosted Zone」になっていることを確認して、ボタン「Create」をクリックします。
これで割り当てられたグローバルIPアドレスのゾーンが登録できました。自動的に登録された NS レコードの値がこのゾーンを管理している DNS サーバーの FQDN になりますので、控えておきます。
次に、srv1.example.com 向けの逆引きレコードを登録します。
- 中央上部にあるボタン「Create Record Set」をクリックします。
- 右側フォームの入力欄「Name」に、「146」を入力します。
- 右側フォームの入力欄「Type」に、「PTR – Pointer」を選択します。
- 右側フォームのセクション「Alias」は「No」にしたまま、入力欄「Value」に、「srv1.example.com.」を入力して、ボタン「Create」をクリックします。
同様に、srv2.example.com 向けの逆引きレコードを登録します。
- 中央上部にあるボタン「Create Record Set」をクリックします。
- 右側フォームの入力欄「Name」に、「147」を入力します。
- 右側フォームの入力欄「Type」に、「PTR – Pointer」を選択します。
- 右側フォームのセクション「Alias」は「No」にしたまま、入力欄「Value」に、「srv2.example.com.」を入力して、ボタン「Create」をクリックします。
これで Route53 への登録が完了しました。
設定後の確認
ここまで設定できたら、動作確認します。
Route53 単体での確認
Route53 は登録してすぐに逆引きができるようになります。
$ nslookup -q=ptr '146.144/28.113.0.203.in-addr.arpa.' ns-714.awsdns-25.net
IP アドレスによる確認
この確認を実施するには、回線プロバイダー側の設定が完了している必要があります。
$ nslookup 203.0.113.146